懐中時計

昨年,叔母から譲られた父方祖父の遺品である懐中時計であるが,風防が割れているのと,ずっとオーバーホールもしていないのとで,名古屋の正規サービスセンターに預けてあった.んが,残念ながら修理パーツがスイス本国にももうないということで,修理不能となってしまった.じゃあ盛岡に送ってちょうだい,という話をしたら,修理品であれば送付可能であるが,修理不能で返却するだけなので送付できないという,こちらからするとよくわからない理由で断られた.今回の帰省で半年ぶりにその懐中時計を受け取ってきた.

なかなかいい雰囲気の懐中時計.父方祖父には懐中時計のコレクションがあり,通夜だったか葬式だったかその後だったか,親類の人々が集まったときにそれぞれ自分の欲しいのを持って行った.まだガキンチョだった塾長には高価な時計をもらう権利が与えられず,羨ましいなあと思いながら見ていた.腹立たしいことに,うちの父上は時計とか万年筆のようなものに全く興味がなくて,そのコレクションには手を出さなかった.だから,父上が他界したときに塾長がさらにそれを受け継ぐ,みたいなことにはならんかったわけだ.当時のことを叔母に話したところ,気の毒に思ったのか叔母が貰ったものを塾長にくれたのである.ちなみに,父方祖母から懐中時計の鎖だけは貰っていた.あの鎖の元の懐中時計はどこに行ったんだろう.このROLEXより高価であることは間違い無いんだけど.

何だかなあと思うのは,天下のROLEX様が,シンプルな3針の懐中時計すらパーツがなくて修理不能であるということ.パーツがないなら自作すればいいじゃん.高価な時計を買わせといて,40年ポッキリで修理不能とか,ボリすぎちゃうか.IWCなんかは永年修理を謳っているし,パテックなんかも多分そう.金なら出すって言ってんのに.ハンドメイドのヴァイオリン買ったつもりで,実は木工用ボンドでくっつけられていて修理不能なヴァイオリンだった,みたいな気分です.

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