チェロ弦　Pirastro Flexocor Deluxe

めっちゃ久々に弦を交換した．演奏会もしてなかったし，楽器の調整もとんとご無沙汰だし，そんなに金かけても仕方ないや，ということでいわゆる高級弦ではなくて，普通の価格の弦．割と最近出た弦らしくて，全く情報はない．ただ，一点だけ特筆すべきことがあって，CG線がタングステン巻きであるにもかかわらず，4弦合わせて17000円程度しかしないこと．ヴァイオリンの人から見たらそれでも「めっちゃ高い」となるのかもしれないが，例えば多くのチェロ弾きが使っているスピロコアのタングステン巻きや，ピラストロの他のタングステン巻きの弦なんかだと，CGの2本だけでも20000円くらいになる．使ってる方も売ってる方も完全に金銭感覚が狂ってる世界なのだ．他のもう少しマイナーなメーカーを見渡しても，このくらい安価なタングステン巻きの弦は，ダダリオのカプランか，ワーチャルアンバーしか塾長は知らないし，それらも自分では使ったことがない．

で，この新しい弦についてであるが，なんというか値段以外は特筆すべきことはなく，普通，としか言いようがない．エヴァピラッツィに比べるとテンションは緩いと思う．あと，巻線はピラストロにしてはなめらかな気がする．オリーヴとエヴァとエヴァゴールドくらいしか使ったことはないのだが，ピラストロの巻線はなんとなく雑というか，ザラザラした印象がある．Flexocor Deulxe についてはそのようなことはなく，ラーセンみたいななめらかな感触がある．太さはピラストロとしては普通．ラーセンとかスピロコアに比べると少し太い．タングステン巻きのCGも，スピロコアのクロムよりは細いけど，タングステン巻きよりは太い．4弦の太さがあんまり大きく変化しないような．

音も普通．なんだろう，艶々ぶりぶり系ではなくて，落ち着いたマットな音というか．とんがってないとは思う．あと，スピロコアもエヴァもCGのタングステン巻きは結構金属音が出ててイライラするんだが，この弦に関してはそれはない．ピラストロの最近のチェロ弦は性能が上がっていると思う．エヴァゴールド以降（エヴァゴールドとパペチュアルシリーズ）とそれ以前では明らかに金属音の量が違う．今回の新しい弦もその点では高性能化後の世代だと判断できるだろう．

A線の高音域はエヴァやエヴァゴールドの残響の多さに比べると響きが少ない．いいのか悪いのかは知らん．

注意点が一つあって，Flexocorには昔からあるバージョンと，今回出たFlexocor Deluxeがあり，なぜか新しい方の弦の方が安いのだ．だから，新しい方を試したければ，Deluxe の方を選ばねばならんと．それにしてもDeluxeて名称がなんとも芸人ぽいというか，センスがないというか．そもそもなんでデラックスの方が安いねん．