優しい煉獄

森岡浩之「優しい煉獄」読了

煉獄といっても,鬼滅の刃とは関係ないです.

「星界の紋章」シリーズでお馴染みの,森岡浩之氏の書いた,SFのような,ポンコツ系ハードボイルドのような,ブラックコメディである.舞台は死後の世界で,主人公は現世ではすでに死んでいる.この現世というのは,科学技術が今よりも進んでいて,生きている間に脳味噌スキャンすることで,死後に電脳世界に送られることになるのだ.

んが,ここからの設定はなかなか鬼畜で,生前の財産がない人間はそもそも死後の世界には行けない.そして,生前の財産が尽きたときに電脳世界からは消去される.電脳世界を維持するにも金がかかるということだ.ということは,この世界でなにかやらかして,罰金刑を喰らったら,それが死刑宣告(もう,一回は死んでるんだけど)になる可能性もあると.

そのような一見殺伐とした世界で,自称探偵の主人公やその周りにいるロクでもない連中(ヨシさんとか,ゲンさんとか)がしょーもないやりとりをしているのを眺める,というのが楽しい.「星界の紋章」シリーズでも,登場人物の軽妙な会話が大変面白かったのであるが,この作品においても,いや,この作品の方がもっと対話劇が面白い.600ページくらいの分厚い文庫本なんだけど,1日かからずに読んじゃったよ.

星界の戦旗も先に進めてください.

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