イリアム・オリュンポス
ダン・シモンズ「イリアム」「オリュンポス 上・下」読了
ギリシャ神話をネタにした,壮大な宇宙SF.計三冊,総ページ数1700ページ以上,各ページ2段組という,ものすごく塊感のある読書体験であった.まず,どの時代のどの場所の話であるのかが朧げながらわかるまでに第一部「イリアム」の300ページくらい読まなくてはならず,その後も場所や時代や登場人物をころころ変えて話が進んでゆくので,結構真面目に自分がどこの話を読んでいるのかを意識しなくてはならない.また,「イリアス」だけでなく,プルーストやジョイスやシェイクスピアからの引用も多いため,何言っているのかわかんないところも多々あった.ちなみに,「イリアム」を読んでいる時は,並行して「イリアス」も読んでいた.ホメロスの叙事詩は人類史に残る文学作品らしいが,今の時代に読むと,殺人狂の英雄たちが大暴れしているだけの話に思えてしまう.殺した相手の武具を剥いで奪い,襲った村の男は殺し,女は犯して愛人にして,子供は奴隷にする,とか,どこの鬼畜でしょうか,って感じ.倫理観とか価値観とかは時代と場所によってかくも異なる.「〜するのが常識」と思っている人々には知性がない.
次はプルースト「失われた時を求めて」を読み始めている.こちらも全18巻の大部である.一年くらいかかりそうな気がする.当然,プルーストだけ一気に読むのではなくて,並行して他の本も読むけど.塾長は浮気性なのです.


