バベル

R.F.クァン「バベル」読了

駅の本屋で平積みにされていて,表紙がカッコ良かったから買ってしまったやつ.

19世紀中ごろの英国を舞台にしているが,世界線が若干異なり,魔宝具(銀の棒)が存在するような世界のお話である.主人公は英国に連れられてきた中国人孤児のロビンで,彼はオックスフォード大学で翻訳の研究をさせられる.この世界では,翻訳における概念のズレを銀の棒に掘り込むことで銀を魔宝具とすることができるため,翻訳者の役割が我々の世界線と比べて段違いに大きいのである.銀の棒には「工場の排気をきれいにする」「下水を浄化する」「電気をつける」などの,現代生活を便利にするためのほぼ全てといってもいいような機能があり,英国は中国にある銀を独占し,世界帝国を築き上げようとしている.銀を使う,ということ以外は実際の歴史とパラレルなところが多く,英国による植民地の搾取,英国人エリートによる英国人庶民の搾取,といったテーマが通奏低音としてずっと鳴り続け,その上にロビンたちの大学生活が営まれてゆく.タイトルの「バベル」はロビン達が翻訳研究をしているオックスフォード大学内の図書館というか研究所のこと.

欧米人のナチュラルな差別意識というのが見事に描かれていて,こいつらがLGBTとか騒いでるの見ると結局ただの流行なんだよな,と思ってしまう.本当に深刻なところはスルーして,とりあえず流行に乗る,みたいな.まあ,読め.

絵が繋がってるねん.

Follow me!