黒牢城

米澤穂信「黒牢城」読了

先週久しぶりにモスビルの丸善に行った時買ってきた本.タイトルと表紙のイメージから,横溝正史的な現代のお話かと思ってたら,時代物だった.

織田信長に背いて尼崎の城に籠った荒木村重と城の土牢に入れられた黒田官兵衛が,城内で起きた殺人事件たちを解決してゆく,という話.もちろん城主と官兵衛は敵同士であり互いに相手を利用してやろうと考えている.4件の殺人事件が起き,それぞれが短編となっているような連作短編集ということもできよう.

塾長は歴史を知らぬ無教養人なので,登場人物が実在であるのか知らぬ(さすがに信長とか光秀とか官兵衛は実在であると知っている.が荒木村重が実在であるのかは知らぬし,興味もない).それでも十分に楽しめた.尼崎や摂津のあたりの地名は,学生時代に毎週のように通っていたチェロのレッスンの行き帰りで通過した駅たちの名前ばかりで,なんがか妙に懐かしい.この著者の作品だと,古典部シリーズはだいたい読んでいるし,今期はアニメで小市民シリーズも見ている.高校生が登場する同著者の作品はどうにも小賢しいガキどもばかりで(話自体は面白いものの),登場人物たちの言動に不自然さというか気味悪さを感じることが多いのであるが,この作品はそういう不自然さを感じることはなく,大変楽しい時間を過ごすことができた.

八つ墓村の祟りじゃあ,的な表紙に見えませんか.

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