DUNE 砂の惑星

F.ハーバート「DUNE 砂の惑星」読了

地球を離れて宇宙帝国を築いた未来の人類の闘争の話.主人公ポールは父親であるレト公爵が皇帝の命令で不毛の砂の惑星に領地替えさせられたのに伴い,母であるジェシカとともに彼の地に降り立つ.そこは水分がほとんどない過酷な土地で,砂漠には巨大な虫が生息し,砂漠開発を妨げていた.唯一の交易品である香辛料が高値で売れるために経済が成り立っている.実は領地替えは,レト公爵の敵であるハルコンネン男爵と皇帝の策略であり,政争に敗れてレト公爵は命を落とし,ポールとジェシカは砂漠へ逃亡する,というところから話が始まる.

で,上中下の三冊を読み終えて,どうにも中途半端だし,回収されていない伏線がいくつもあるなあ,と思って調べてみたら,この作品は3部作か4部作で,著者は完結前に亡くなっていて,息子が続編を完成させた(完結したのかは不明)ということだった.なんだそれは.DUNEは古典的な名作SFであるという前評判があったから三冊買ってきたのに,ようやく第一部が終わったばかりで,第二部は新訳がでているけど第三部はまだでてないらしいやんか.評論とかランキングとかするやつは,それぞれの作品に続編があるのかとか完結してるのかという情報をまず最初に出しといてくれよ.結構面白かったけど,印象悪いから続編を読むかどうかは保留ですな.

内容であるが,全てが砂の惑星上で進む話で,宇宙でなくてはならないようなことはほとんどなかった.というか,星間帝国が存在するような世界において,中世貴族社会みたいな階級制度と政争があるということ自体が絶望的である.あと,主人公のポールくんや母上のジェシカさんは未来視の能力を持ってて,宗教指導者みたいな感じになってるのも絶望的だ.もし人類が星間国家を築くことができるレベルまで進歩したら,せめて旧世代の愚物とは訣別していてくれることを祈りたい.

各章の最初に,帝国やポールくんの年代記作家(前皇帝の娘)による,様々な格言が記されており,本編にも聖書や,本作オリジナルと思われる聖典からの引用が散りばめられている.私はこの作品のジャンルを,説教系SFと呼ぶことにした.今のところ他に同ジャンルの作品はない.

ちょっと前に映画の第二弾がでたんだとさ.

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