ソラリス

レム「ソラリス」読了

表面のほとんどを海で覆われた惑星ソラリスの調査をしている研究者が,ソラリスの宇宙ステーションで様々な現象に悩まされる,という話.ソラリスの海はどうやら知性を持っているらしいと考えられている.そう考えると本作は未知の知性体とのファーストコンタクトものと言えば良いだろうか.人類側は様々なアプローチを試みるが,最初のうちは全くと言っていいほど反応がなかった.しかし,高強度のX線を海に照射したことで人類側に多少なりとも興味を持ったようで,手段はわからないが研究者が寝ている間に彼らの脳内の情報を読み取り,それぞれの研究者の親しい人のコピーを作って接触をしてくる.さて,姿形がほぼ同じで,同じ言語を喋るコピー体は本人とどう違うのか,自分のコピーが存在したとしたら,どう区別ができるのか,いや,ワシ自身ほんとにオリジナルなんですか,みたいな話が続く.塾長の生まれるずっと前に書かれた本であるが,宇宙ステーションに紙や記録テープがあるという設定以外,現代の我々が読んでも古さを感じない.

相手のコピー体を作って接触を図る,という場面は,涼宮ハルヒシリーズの短編でもあった.もしかしたらソラリスへのオマージュだったのかもしれない.あのシリーズの著者は多分SF大好きなんだろう.そういえば,情報統合思念体なんかは,「2001年宇宙の旅」に出てくる情報生命体によく似ている.それをいうと,「2001年宇宙の旅」の最後の方にでてくる,地球上の建物によく似たものを宇宙人が主人公の脳から情報を読み取って作り上げた(脳内に作り上げたんだっけ?)のは,ソラリスの影響だったのかもしれない.

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