単語帳

英検準1級筆記試験に通った生徒さんから,次のレベルで使う単語帳はどうしたらいいか聞かれた.準1級の先は大学受験レベルを超えているので,それまでのレベルと異なり単語帳の種類自体が少なくなる.塾長が使っていたのは(そして時々復習しているのは)究極の英単語Vol.4で,準1級合格後ならVol.3あたりからが良いのではないかと話しておいた.中学生高校生が使う単語帳にはそれぞれ特徴があり,自分が使いやすそうなものを本屋で手に取って購入すればいいと思うが(昔と違って,ちゃんと使えるものが増えている印象がある),単語帳に書いてあることだけが全てではなく,必要に応じて辞書や文法書を調べて補足情報を書き込んでゆく必要があると考えている.その意味では,余白がある程度残されているものが好ましく,究極の英単語シリーズは割と白い部分が多いのが良い.そもそも,大学受験で必要であるとされている6000〜7000語をこえた語彙を網羅的にまとめた単語帳自体が大学受験生用には存在せず(究極の英単語シリーズは4冊合わせて12000語.一冊あたり3000語収録),究極の英単語以外だと,Z会から出ている長文を読みながら系くらいしか思い当たらない.もちろん,英検1級用とかTOEIC・TOEFL対策用のものでもう少し単語レベルの高いものはある.いずれにしても大学受験レベルを超えた後は選択肢が少ないってことだ.ちなみに究極の英単語音声CDは別売りで結構高い.Vol.1~4まで全部入ったCDを買わせるのは気の毒で,うちの生徒さんに貸し出したこともある.

Vol.3がきれいでVol.4が汚いのは,Vol.3はちらっと見てほとんど知っている単語ばかりだったので使っておらず,Vol.4は今でも数ヶ月間隔程度で復習しているから.ちなみに帯の文句はどちらもhype(誇大広告)である. Vol.3レベルだとCNNやBBCのニュースはともかく,TIMEとかEconomist のEditorial をすらすら読むのは厳しい.また,Vol.4 であっても,ネイティヴが驚くような語彙レベルには到底達していない.せいぜい小学校高学年から中学校低学年程度だと思う.もちろん,英語を仕事に使わないノンネイティヴとしては十分なレベルであるし,難解であるとされているものでなければ,小説なども普通に楽しめる.ただし,日本人の阿呆な中学生がちょっと背伸びをして純文学を読んでるような,そのくらいのレベルではある.

究極の英単語の次の単語レベルだと,同じシリーズのプレミアだとか,それ以外にもなんかあったような気がするが,おそらくネイティヴが使っているようなものを入手した方がいいだろう.下の写真だと,左上のものは語根で単語をまとめていて,読み物としてとても面白い.ボキャビル用途ではなく,暇つぶしに塾長は時々読んでいる.語根の解説もさることながら,紹介されている単語の解説に毒があって結構笑える.下の2冊はガチのスパルタ系ボキャビル本で,やりたきゃどうぞ,って感じ.前書きに「本気でやらんやつは来るな」的なことが書いてあって,アメリカ人はマッチョが好きですなあと思った記憶がある.

ここまで色々紹介しておいてアレだが,塾長は大学受験生の頃には単語帳を使っていなかった.入試問題やZ会の問題や洋書を読んでいて知らない単語に出会うたびに,自作の単語ノートに色々書き込んでいたのである.したがって,お受験的な観点から言うと効率の良いボキャビルはしてこなかった.しかし,単語ノートに書き込んだ単語はほぼ完全に頭に入れていたことと,そこそこの分量を詰め込んでいたことで,お受験で困ることはなかった.物量作戦は結構大事.実のところ,単語帳を初めて使ったのは,英検1級を受験する二週間前で,そこで覚えた500個程度の単語は,合格後半年も経たず抜けてしまった.究極の英単語を使うようになったのは2018年頃で,生徒さんが全然英単語覚えてくれないから,何かいい方法ないかと,知らない単語がいっぱい入っているであろう単語帳を使って真面目にボキャビルをしてみたら,生徒さんよりも塾長の方が単語が詰め込めてしまったという,どうしようもないオチになったのである.結局,ボキャビルって気合いですよ,というどうしようもない精神論しか導き出せなかった.塾長のようにやれば,多くの受験生は塾長と同じくらいの語彙量は獲得できる.誰か,生徒さんたちに塾長と同じようにやれるようなモチベーションを簡単に持たせる方法を教えてください.

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