名画を見る眼 I

高階秀爾「名画を見る眼I」読了

小学校から高校まで,図画工作や美術の成績は常に△とか2とか1だった.授業時間内に何か物を完成させるということが苦手であったのと,そもそも手先が不器用で思ったところに手が動かず,物を見る目もなかったために正しい位置を測ることもまともにできなかったのがその理由.そんなこんなで絵画や彫刻,さらには建築といった造形物には忌避感みたいなものがあって,せっかく徒歩圏内に多くの美術館や博物館があった東京在住時も,友人が上京してきて何かの展示を見るのに付き合ったりする以外は,それらとは没交渉だった.

ではあるが,一生なんの関わりもなく過ごすのもなんだかなあと思い,そのきっかけとして割と有名な人の書いた本を読んでみたのである.昔からある本が改訂されて,カラー写真が結構たくさんあるという触れ込みであるが,なにせ新書サイズで新書クオリティの印刷なので,名画の写真は小さく,色も家庭用インクジェットプリンタで印刷したようなもっさい色だ.老眼にはきつく,何度もメガネを外して小さい絵を見るという,なんともしょぼいことを繰り返さなくてはならず,フラストレーションがたまる.内容的には,各時代地域から代表的な画家の代表的な絵を取り上げて,蘊蓄を垂れるというスタイル.山田五郎氏の蘊蓄スタイルはこういう本から生まれたのかもしれない.それぞれの部分部分では「へえ」と思うのであるが,翌日になると全て抜けている.雑学ってそんなもん.というか,各々の絵の解釈自体が恣意的というか物語的というか,ほんまかいなと思うところも多く,話半分くらいで楽しむのが正しい気がする.

もう一冊あるので,そのうち読む予定.一冊めは何が描いてあるのかが表面的にははっきりしているものだった.2冊めは時代が下るので,もしかしたら何が何だかわからん絵が出てくる可能性もある.

50年で82万部だと,人気の漫画がどんだけよく売れてて,どんだけ儲かってんのかよくわかる.真面目そうな本は売れんのだな.

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