万年筆用紙

万年筆というのは現代においては完全に趣味の筆記具であり,万年筆のための紙などというものは万年筆に従属するさらに趣味性の高い商品である.んが,なぜか定期的に「万年筆用」と銘打ったノートや便箋が発表されていて,万年筆愛好家である塾長も時々新製品を試すことにしている.今回は,神戸派計画なるメーカーの「GRAPHILO」という製品を購入してみた.帯に「万年筆ぬらぬら派」とある.筆記具の書き味の好みは人それぞれで,塾長のそれは筆圧なしで滑らかに書けるようなものを至高としている.その観点から言うと,「万年筆ぬらぬら派」は塾長の好みではない.ペン先やインクによっても書き味は変わるので,あくまでも塾長の環境において(Pelikan Fニブで,インクはセーラーの蒼墨)という限定付きの判断.

一番右が今回購入したやつ.真ん中のやつが今一番好きな「紳士なノート」で,一番左が学生時代に東大生協で購入したフルース紙のノート.在学中に多めに購入したがすでに使い切ってしまった.クリーム色のフルース紙は現在でも色々なメーカーからでているが,これが一番滑らかでざらざら感がない.残念ながら岩手大学の生協には置いておらず,現在東大生協で売っているのかどうかもわからない.なぜだか,東大には他にも万年筆に適した紙が多く,物理学教室にあった無料のレポート用紙二種類(一方は普通の白い紙で,もう一方はなぜかフルース紙の高そうなやつだった)はどちらも素晴らしい書き味だった.使っている人もあまりいなかったので,少し多めにもらっていたが,今となっては手持ちのものはない.

割と広まっている万年筆用の紙でまだ試していないのは,ミドリ〜というやつくらい.ちなみに,ざらざらとかカリカリが好きなら,ノートの選択肢はぐっと広がる.というか,「紳士なノート」以外のほとんどのノートはその条件には当てはまるから大丈夫.

ちなみに,一番左のノートは塾長が高校で教えてた時の授業用ノート.生徒さんには内容をコピーして配布してた.黒板に書く分量が多くて,生徒さんが書写マシーンになっているのに気づいたから.このノートの半分くらい進んだところで塾長は物理クラスを外された.難しすぎたらしい.当時は「なんでやねん」という感覚だったけど,今このノートを見返してみると,「そりゃ数学的な準備ができてない2年生には絶対無理ですわ」というのがよくわかる.どんなに一生懸命準備してクオリティの高いものを作っても,相手の能力や事情を完全に無視してたらうまくいくはずありませんよね,という話ですわ.石原学舎は彼らの犠牲の上に成り立っている.それでも難しいと思う生徒さんは多いらしい.これ以上レベル的に妥協すると,行くところ無くなっちゃうのでがんばろー.このノートを作ったのが15年くらい前で,インクは褪色しつつある.使っていたのはパイロットのブルーブラックで,これは耐水性が強くて水をかけても文字が滲まないというので以前は好んで使っていた.しかし,以前描いていた日記が10年くらいで褪色していることに気づき,それ以降は顔料インクを使うようにしている.現在はセーラーの「蒼墨」というのを使っている.顔料インクは固まるとペン先を分解しなくてはならないことになるかもしれないので危険だが,せっかくの記録が消えるのでは意味がない.大事なのはペンではなく,ワシの記録なのである.最近は顔料インクの性能が上がってきたのか,プラチナなどはさまざまな色の顔料インクを販売しているようだ.以前だとペリカンの「ファウントインディア」という危なっかしい墨汁インクしかなかったんだけど.

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