君のクイズ

小川哲「君のクイズ」読了

ちょっと前に友人から借りた本をようやく読み終えた.てっきり,問題が読まれる前に答えるための方法が書かれたハウツー本だと思っていたのであるが,フィクションだった.クイズ番組の常連である主人公の出演した番組で,問題文が一語も読まれないうちに正答を出した回答者がいた.なぜそのようなことが可能であったのか,ということを主人公が解き明かしてゆく,ミステリー仕立てのお話である.主人公の独白から,問題文が全て読まれる前に解答をするための技術や考え方の一端が示されていて(これらが実際のクイズ回答者たちが使っている技術なのか,それとも「国語入試問題必勝法」みたいな完全なるフィクションなのか,塾長には判断できない),ああ,あの人たちはそんな頭の使い方をしてるんだ,と感心するような,もっと他に頭使うところあるやろと呆れるような.

それはそうと,塾長はクイズ番組には結構問題があると思っている.クイズには暗記力が必要で,そうなると必然的に出場者は有名進学校の中高生であったり,東大や京大の学生であったりするわけだ.で,アホな子供達はああいうのをみて,頭が良いというのがものをよく知っていてクイズに素早く答えることであると勘違いし,そのまま大人になってしまう.すると,「東大出てるのにこんなことも知らないのか」とか,逆に「ものを知っているだけでは人間としてあかん」みたいなトンチンカンなことを思ったり考えたりするような人々が増えて,何かを学ぶということの価値が貶められてしまう.我々大人は,派手で目立つことだけに注目することなく,地道な努力で確実な知性を身につけることを子どもたちに要求し,自分たちもその模範となるべく努力すべきなのではなかろうか.

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