虞美人草
夏目漱石「虞美人草」読了
数年前に購入して,最初の3冊だけ読んで放置していた漱石全集の続きを再び読み始めた.虞美人草は読んだことがあると思い込んでいたが,最初の5ページくらいしか知らない感じだったので,多分ほぼ初読.実家には文庫本があり,高校時代とかに最初の方は読んだのだろう.早々と読むのを諦めたであろうことは,この年齢になっても地の文の3割ほどは全く意味がわからないことからも容易に想像がつく.漢文の知識や,日本文学,英文学の知識がないと何のことを言っているのかわからないところが多すぎるのだ.この全集は親切なことに,同じ見開きに注釈がついている.しかし,それをみてもよくわからんこともあるし,そもそも注釈の字が小さすぎて積極的に参照する気にならぬ.そんなわけで,同時並行で読んでいるIrving の小説よりも,日本語で書かれた本の方が意味不明という,何とも情けないことになってしまった.塾長は平均的日本人よりも日本語がわかっていると自負しているので,正直なところ少しばかり自信喪失状態である.教養がないとこういうところで楽しみが減るわけだ.
物語は,自意識過剰な若者たちの群像劇+ロシア重厚長大文学に出てくるヒステリー女,みたいな印象だな.同時期に他の作家によって書かれた小説よりも,ハイソサエティというかハイカラというか,貧乏臭さがないのはいい.