ChatGPT
イーロンマスク氏らが,AIの開発教育が人類に深刻な影響を与える可能性があるということで,その訓練をしばらく停止するよう声明を出した.マスク氏なんかはどちらかというとあっち側の(気違い側の)人間であると思っていたので,こんなまともな声明を出すとは思ってなかった.もしかしたら,自分のところでChatGPTなどに勝てるくらいのAIを作り出せるようになるまで,ライバルたちの足止めをしたいだけなのかもしれない.
AIが高度に進化したら,いわゆるホワイトカラーの仕事が減る(orなくなる)という話がある.そうすると収入が減って困る,という話であるが,それはあくまでも実生活における便宜的な話であり,おそらく本当の問題は人生がつまらなくなることだと塾長は考えている.みんなが大いに嫌っている数学の問題や,小論文なんかも,ある程度以上優秀なAIなら簡単に答えを出してくれるだろう.サラリーマンの皆様方が作っているエクセルの表やパワポのプレゼン資料も,口頭で簡単な指示を出すだけで完璧なものが出てくるだろう.絵描きさんは,タブレット端末などで下手糞なラフスケッチを書いて,何らかのパラメタを与えるだけで,自分の純粋な描画技術では描けないような絵画をものすことができるようになるだろう.程度問題ではあるが,これらのことは過剰な手伝いなしにある程度自力でやっているという感覚があるからこそ充実感と楽しみと少しばかりの苦痛が得られるものなのだ.そして,それが人生の面白さにつながっている.これらのしち面倒くささが一気になくなってしまったら,我々はそれに代わる楽しみを見つけることができるのだろうか.できるとして,数年単位で見つけることができるのであろうか.
人生の楽しみという問題が無事解決されたとすると,おそらく次に来るのは社会構造の変化であろう.ホワイトカラーの仕事は機械が人間よりも上手にやるようになる.残りの第一次産業の仕事の中には機械化がすぐにはできないものもあるだろう.すると,今とは異なってそちらの仕事の収入が激増することになるかもしれない.将来的にはホワイトカラーが下層民になり(しかし社会全体としての仕事は半自動的になされているため,金がなくても生活だけは十分できるようになっているだろう),第一次産業や職人の仕事が高給になるということも考えられる.
いや,場合によっては第一次産業の技術的部分がある程度機械化され,ホワイトカラーでも(あるいは無職でも)生活はできるけど,いい車や時計が欲しい,と思ったら第一次産業で二、三年アルバイトしていいもの買う,みたいな生活スタイルもありうるかもしれない.これは機械化が現段階よりもずっと進まないと無理ですな.