Rain
S. Maugham "Rain"読了
モームの短編集から.
ちょっとした不運で南太平洋の島に滞在せざるを得なくなった,宣教師夫妻と医師夫妻であるが,宿泊所の下の階で大騒ぎをしている売春婦のふるまいにブチギレた宣教師が,さまざまな手段を使って彼女を追い詰めてゆく.最後は投げっぱなしというか,簡単な説明も詳細な説明も一切なく,プチっとスイッチが切れたように話が終わる.
まあそれでも,お堅い宣教師と売春婦がでてきたら,物語的に何が起きたのかは明白だろう.宣教師と売春婦,先進国と後進国という対比を遠目から見せることで,西欧文明を自虐的に描いているとみることができるんじゃないか.