セロ独話

無事終了.

バッハを4曲というのは,お客さまにとっては拷問に等しいと知っている.今回のお客さまの忍耐力に感謝.自分自身の気力体力も考えて,次回以降バッハに関しては多くても2曲までとすると決心した.分をわきまえたプログラムにするべきであると古の偉人も言っている.

今回の出来としては,第1番と第3番はまずまず,第2番は結構丁寧に練習してきたのにも関わらず,本番で不注意が重なってしまって残念.第4番はそもそも難しいというのがわかっているので,乱れたところについても納得はしている.ただ,ジーグで頭に血が昇って,それによってさらに頭に血が昇ったのは残念至極.見事に指がもつれた.落ち着いて弾けば,そこまで大変な曲じゃないんよ.まあその,色々言うても塾長は「天城越え」が一番上手というのは自分が一番よく知ってるねん.

さて次は10月28日(金)のショパンのチェロソナタだ.これは生で聴くチャンスがほとんどない迷曲で,塾長の知る限り盛岡では15年前の塾長,数年前に同じ場所でほんまもんのプロの先生が弾いたことくらいしかないはず.盛岡においてはこの20年でおそらく2回しか演奏されていない.1番の理由はピアノを弾いてくれる人を見つけるのが困難を極めるということだろう.気楽に「一緒に弾きませんか」とは言えないのだ.技術的にショパンのソナタや協奏曲と比べても遜色ない上に,チェロの音を聴きながらバランスをとって弾く,という困難極まる課題がピアニストに課せられる.もう一つの理由はチェロパートの難しさだ.ピアノがうるさくてただでさえチェロが聞こえない上に,チェロの響きにくい音域が続き,時々思い出したように恐ろしく難しい重音とかハイポジションの高速スケールがポロッと現れる.ある意味,練習の費用対効果が大変低い曲であると言える.それでも塾長はショパンが好きで,そのショパンがチェロのために書いてくれた曲なんだから,機会があればできるだけ人前で弾いて,この曲を皆様に紹介したいと思っておるのだ.

学生時代にも一度弾いているので,塾長にとっては今回が3回目.世のチェロ弾きとしては数多く弾いている方だと思うけど,それでも3回よ.

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