ICI(Imperial Chemical Industries)
WBCを観ていたら、スポンサーにIHIという会社が出てきた。で、そういえば亡父が大学卒業後に東京にあるICIジャパンという会社に入った、という話を思い出して、geminiに調べさせたら、こんなのがでてきた。
英国産業の至宝:ICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)の軌跡
1. 設立と背景:大英帝国の産業的統合
ICI(Imperial Chemical Industries)は、1926年に英国の主要な化学企業4社(ブランナー・モンド、ノーベル・インダストリーズ、ユナイテッド・アルカリ、ブリティッシュ・ダイスタッフ)が合併して誕生した。この統合の主な目的は、当時台頭していたドイツのIG・ファルベンやアメリカのデュポンといった巨大資本に対抗し、英国および大英帝国全体の産業競争力を維持することにあった。設立当初から英国政府との結びつきが強く、20世紀における英国製造業の象徴的な存在であった。
2. 技術革新:現代社会を形作った発見
ICIの功績は、化学、素材、医薬など多岐にわたる。1933年に発見された「ポリエチレン」は、現代のプラスチック産業の基礎となり、包装材から絶縁体まで幅広く普及した。また、第二次世界大戦で軍用機にも多用されたアクリル樹脂(パースペックス)や、世界初のベータ遮断薬、吸入麻酔薬ハロセンといった画期的な医薬品も同社の研究所から生まれた。これらの技術革新により、ICIは世界有数の多国籍企業としての地位を確立した。
3. 社会的地位:エスタブリッシュメントの象徴
英国株価指数(FTSE 100)の構成銘柄の中でも中核を担い、長年にわたり「英国経済のバロメーター」と称された。その企業文化は、高度な専門性と知的水準を重んじることで知られ、世界各国の拠点においても、現地のトップ層を採用するエリート企業としてのブランドを維持した。特に研究開発への投資と、社員に対する高度な教育体制は、当時のグローバル企業のモデルケースであった。
4. 組織の解体と終焉
1990年代、資本市場の要求や産業構造の変化に伴い、巨大な多角経営の合理化が迫られた。1993年、最も収益性の高い医薬品・農薬・特殊化学部門が「ゼネカ(Zeneca)」として分離独立。このゼネカが後にスウェーデンのアストラと合併し、現在のアストラゼネカとなった。残されたICI本体は塗料や特殊化学品に特化したが、かつての圧倒的な影響力は分散していった。2008年、オランダの化学大手アクゾノーベル(AkzoNobel)に買収されたことで、ICIという組織とブランドはその歴史に幕を閉じた。現在はアストラゼネカやシンジェンタといった世界的企業の中に、その血脈が受け継がれている。
塾長が大学生になる頃には、ICIは規模を縮小していたみたいで、就職を検討しているような友人はいなかった(というか、塾長の周りには普通の意味でサラリーマンになりそうな人は半分くらいしかいなかった)。だから、塾長も亡父がICIの話をしてもピンと来なかったのであるが、これを見る限りかつては結構な名門企業だったようだ。社員に対する教育、というのは確かに結構ちゃんとやっていたみたいで、父は英語を勉強させられたがその時の家庭教師が英国大使館員の奥さんだったらしい。「上流階級のちゃんとした英語を学ばなければ意味がない」とよく言っていたが、そういうことだったのだろう。ケンブリッジだかオックスフォードの英検もとらされた、と言っていた。また、入社してすぐに半月くらい入院したらしいんだが、その間も給料が支払われていたらしい。1960年代でそのような好待遇は他ではなかなかなかったと思う。普段あんまり自慢しない父だったが、晩年に雑談してて「ICIは名門だったんだ」と珍しく自慢していたのを思い出す。そんなICIも今はなく、父も今はいない。

