人間力

こないだ生徒さんから「人間力ってなんだと思いますか」と聞かれた。

よくよく聞いてみると、学校で開催された講演会でそんな単語がでたらしい。最近はいろんな学校で外部講師による講演会がなされるようになった。塾長が子供のころはそういうイベントはなかった、あるいはあるにしてもきわめてまれであった。よく、「学校の先生は学校から出たことないから、外の世界の話を知らん」ということが言われるけど、学校の先生の役割は教科内容を教えることである。外の世界の話は生徒が自分で情報をとりに行くか、保護者などの家族がそのような機会を作ればいいだけのことだと思う。ただ、進学先やその後のキャリアについては外の世界の話だから、学校の先生は必要以上に関わらない方がいい。それらの事柄は、本人と保護者の専権事項である。アドバイスを求められたときだけ、意見を述べれば良かろう。

で、講演会の講師に誰を呼ぶのか、という話なんだけど、実業家を呼んで話を聞くのは、ビジネス書を買って読むのと同じくらい意味のないことだと思う。それは結局、彼ら彼女らがどのようにして博打に勝ったか、ということを(自慢を交えて)語る会になるだけであり、ギャンブルにおける幸運は話としては面白いかもしれないが、子供たちに聞かせるには害が大きすぎる。子供たちが学ぶべきことは、今日1ミリ進んで、明日0.5ミリ後退して、という作業を延々と一生続けることが人類の進歩を促してきた、ということである。学校で学ぶべきことは博打ではない。

成功した科学者を呼ぶ場合も、子供たちが誤解しないようにしなくてはならない。科学者Aは地道な研究をつづけてノーベル賞をとったかもしれないが、科学者Aの後ろには、地道な研究を続けてほとんど成果が出なかった科学者たちの死体が累々と続いている。地道な研究を続けても大したことにはならないかもしれないが、大したことになるためには地道な研究が必要で、それらを分けるのは幸運である、ということこそ子供たちが学ばねばならないことだと思う。成功した実業家の自慢話ではこれを学ぶことができない。

ちなみに、人間力とは広い意味でのコネのことであると塾長は考えている。

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