物理学の誕生
山本義隆「物理学の誕生 山本義隆自選論集1」読了
著者がこれまでに書いてきた,科学史に関する小論を集めたもの.内容的には重複も多く,雑多な印象を受ける.同じことが何度も書いてあるので頭に残りやすいと言えばそう言えなくもない.後半は著者の母校で科学史の講演をした時の講演録みたいなもので,前半の小論たちをまとめたものになっている.後半だけ読んでも一通りのことは書いてある.
著者の書いた熱力学史や力学史の本に比べるとより一般向けというか予備知識の必要のないものになっているが,その代わりまとまりに欠けるというかグダグダ感が増えたものになっている.高校物理がある程度きちんと身についているのであれば,先に述べた熱力学史や力学史の本の方がすっきり読めるだろうし,そうでない場合は本書の方が(特に後半は高校生相手の講演ということもあってかレベルが抑えてある)読みやすいかもしれない.
