スウェーディッシュ・ブーツ
ヘニング・マンケル「スウェーディッシュ・ブーツ」読了
図書館でテキトーに引っこ抜いてきた本.著者の名前は今回初めて知った.主人公である語り手は,70歳目前の引退した元外科医で,スウェーデンの群島の一つにひっそりと暮らしている.本書の冒頭は,主人公の家が全焼するところから始まる.沿岸警備隊の捜査により,火元は家の中に複数あり,しかもほぼ同時に着火したと判明する.さて一体誰が何のために.
ということで,推理小説なのかと思いきや,本書の90パーセント以上は,老いて孤独に苦しむ主人公やその周りの人々,そしていかがわしい仕事をしつつパリに住む主人公の娘家族などを描いている.人生と人間性のクソな部分をこれでもかというほどしつこく描き,特に主人公のクソ人間ぶりが素晴らしい.読んでいて全然楽しくなかったが,何だか知らんうちに最後まで読んでしまった.謎解きと考えるとそれほど面白くなく,人間の闇を見ていると思えばまあまあ.そういえば,スウェーデンの作家の本は人生二作家目で(一人目はマルティンベックシリーズの作家.名前忘れたけどペールヴァールー,マイシューヴァルとか書いてあったような画面が頭の中の画面に映っている),マルティンベックシリーズも何となく雰囲気が似ているような気がしていた.ちなみに解説を読むまではドイツの作家だと思ってた.図書館のドイツの棚から引っこ抜いたから.