Larsen Il Cannone
チェロの弦を交換した.ここ十年くらいはずっとPirastro の弦を使っていたのであるが,欧州のインフレと円安が重なって,一般人には手の届かない値段になってしまったので,別のメーカーのものを探しているところ.Larsen は元々Pirastro と同じくらいか,それ以上に高い弦だったのだが,デンマークのインフレはドイツほどではないのか(Pirastro はドイツ,Larsen はデンマーク),いつの間にか値段が完全にひっくり返っていた.今回はそんなLarsenの一番新しい弦である,Il Cannone (Direct&Focused)を買ってみた.定番のSpirocore ほどではないが,思ったよりもCとGは金属音がある.最近十年くらいでPirastro から出たチェロ弦(Eva Pirazzi Gold, Perpetual, Flexocor Delux )はどれも金属音の少ない弦であるが,張って1日目だと今回のLarsen は少し金属音がある.Direct & Focused を選んだからかもしれない(もう一つ同じ名前の弦でWarm & Broad というのがある).しばらくは様子見ですな.
ネット通販が栄えるようになってから,多くの弦楽器奏者は安売りのネット通販で弦を購入するようになった.これは善し悪しで,弦楽器工房で買うよりも安いということは確かによいことだが,その反面弦楽器工房でみんなが弦を購入しなくなったためにお店が弦を売ることがなくなり,弦を買う客のために新しく出た弦を職人さんが試してみたり,試奏できるように常備したりするというインセンティブがなくなってしまい,お客側は新しい種類の弦を試すときは毎回ギャンブル(しかも数万飛んで行く)をすることになってしまう.まあ実のところ,お店で弦を購入していた時も,試奏とかさせてくれるところはなかったし(少なくとも塾長は知らない),そこのお店が売りたい弦ばかり置いてあったりするから状況は変わっていないといえなくもない.
そんなわけで,リスクを減らすために多くの弦楽器奏者は(特に弦が高価なチェロ弾きは)保守的な弦選びをすることが多く,上に挙げたような高性能な最新弦を試したことのない人がほとんどだったりする.競技人口が少ないと有益な学習や情報交換ができないのが残念だよね.