指揮者

日本を代表する指揮者の小澤征爾氏が亡くなったとの報道があった.世界のどこであっても,クラシックを聴く人や弾く人なら名前を知っているであろう初めての日本人であったのではないか.にもかかわらず,うちには小澤征爾氏のCDが1枚しかない.御友人のチェリストである故ロストロポーヴィチ氏と一緒にドヴォコンとロココ弾いてるやつ.これはロストロがいたく気に入っていた一枚で「今後ドヴォコンは2度と録音しねえぜ」と宣言したものだ.正直なところ,この演奏のどこがいいのか塾長にはさっぱりわからない.それより前にカラヤン・ベルリンフィルと録音してた方が,緊張感があって塾長は好きだ.なんか,チェロも指揮もオケも,相手の音を全然聴いてない感じがめちゃくちゃなのよ.カラヤンのベルリンフィルは個人的に最も嫌いなタイプの演奏スタイルであるが,ロストロにぐちゃぐちゃにされたベルリンフィルは笑えるし,なかなか宜しい.ロストロは晩年の録音がどれもクソで,バッハとかピアソラとか,やらなきゃよかったのにって思う.80年代までのコンチェルトとソナタ(これらはピアニストの選定が絶妙で,どれも素晴らしい),それからものすごい集中力で毎回ほぼノーミスであったという一連のコンサート達で十分だったのではないか.あかん,小澤征爾氏の話を書くつもりが,ロストロのことしか出てこん.

小澤征爾氏を見かけたのは2回だけ.どっちも10m以上離れてたし,「ああ,有名人がおる」と思っただけだった.1度目は下北沢の駅で(小田急だったか井の頭線だったか記憶にない)にて.電車に走って飛び乗ってきたのを目撃した.あまりに特徴的なお姿なので,見間違えようがない.2度目はロストロや若者集団と一緒にコンサートキャラバンなるものを組んでドサ回り旅芸人みたいなことをしている途中で岩手県立博物館で演奏会をした時.帰る時に観客がバスを取り囲んで「小澤さーん」て呼びかけてた.ロストロは見知らぬ外人のおじいちゃん扱いだった.塾長的にはロストロの方が希少価値の高い生き物だったんだけど,こっちではそうではなかったようだな.ちなみにロストロはさすがに歳だし疲れててヨレヨレな感じだったが,それでも音がでかい.あれなんなの?同じ設計の楽器を弾いてるとは思えんかった.

一時代を築き,世界中の音楽家たちに影響を残した音楽家に合掌.

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