彼岸過迄
夏目漱石「彼岸過迄」読了
どんな気持ちかというと,バッハ全集CDのカンタータを10枚くらい聴いたら,どれも同じ曲であるかのように思えるという,あの気持ち.読んだことがある気もするけど,なんか自信がない.例によって,高等遊民ぽい登場人物がどうでもいいことに悩んで,そして何のオチもなく唐突に終わるというやつ.
こういうのを読んでると,漱石が文豪と言われるほど立派な作家であったのかわからなくなる.仙人みたいな生活してると言っても,家の中には小間使いがいるわけで,どう考えても本当の意味で生活に困ってる人種ではない.まだ年金が多少残ってる没落貴族みたいな連中が,うじうじと考えても仕方がないことを考えている様を延々と読まされるわけだ.高校の教科書にも載っていて,大部分の高校生が義務的に読むことになるわけであるが,これは一体どんな教育的効果があるのであろうか.探せばもっと良さげな題材がありそうなものだ.