坑夫

夏目漱石「坑夫」読了

昨日に続いてそのまま漱石どんを読んでしまった.東京で家族のいざこざに嫌気がさした若者が発作的に家出をした先で,銅山の労働者を探すポン引きに引っかかって連れて行かれて穴に一回もぐる,という話.物語の早い段階でいずれ穴ぐら労働者ではなくなることがわかっているため,緊張感も切実さも全然感じられず,ボンボンの大冒険,くらいの話に矮小化されてしまっている.女工哀史と蟹工船に謝れ.

毎年この時期は数学や理科の問題を解いてテキストの準備をしたり,本を読んだりしている時間が増える.読書に関して言えば,これは間違いなく現実逃避であり,本当はテキストの準備や解説の作成を最優先すべきであるということはわかっている.いやはや.ちなみに,数学や理科の問題は100問解いたとしても,実際にテキストに反映されるのは数問なので,効率は悪い.そんなもんよ.コスパとかタイパとか言ってる連中なんて滅びればいいのに.ムダを減らすことは大切だが,人の作った近道以外歩く気がない人生はつまらんよ.

"つまり世の中では大勢のやっている事が当然になって,一人だけでやることが余計のように思われるんだから,当然になろうと思ったら味方を大勢拵えて,さも当然であるかの容子で不当な事をやるに限る."

"社会は冷刻なものだ.内部の罪はいくらでも許すが,表面の罪はけっして見逃さない. "

Follow me!