遠心力とか

物理チャレンジ対策講座では,遠心力とコリオリの力のような,回転座標系における慣性力について学んだ.通常の受験生用の講座では,慣性系に対して並進運動をする(回転なし)座標系における慣性力の導出はすることがある(しないことの方が多い)が,遠心力やコリオリの力については,計算が面倒臭すぎるので導出しないことにしている.また,円運動の問題を解く場合にはできる限り遠心力を使わないように注意している.教科書の円運動のセクションのすぐ後に遠心力について書かれていることが多く,遠心力の形と,円運動の方程式のmaの部分の形が全く同じであることから,円運動の問題を遠心力を使って解く生徒さんや先生が多い.特に,一高の生徒さんにその傾向が強いと感じている.

しかし,うちでは常々申しているのであるが,円運動と遠心力には何の関係もない.概念的に全く異なるものなのだ.円運動は文字通り,何か物体がぐるぐる回ってるってこと.遠心力というのは,メリーゴーランドのような回転座標系において運動方程式を立てるときに,それがないと辻褄が合わなくなってしまうような見かけの力であり,物体の回転とは何の関係もない.円運動の問題を解くときに遠心力を使うことは,円運動の運動方程式を書くことができない高校生を量産することにつながる,最低の方法であると塾長は考えている.

実は京大は円運動の問題を遠心力で解かせることが多い.あれは,円運動と回転座標系における慣性力が全く概念的に異なるものだとわかっているような,上級の受験生を相手にしているから成立していると解釈すべきであろう.

回転系の角速度が一定であるようなシンプルな設定でも,遠心力の導出にはこれだけの計算が必要なのだ.そして,それをやるとついでにコリオリの力まで出てきてしまうという.高校生に遠心力は必要ない,というのが塾長の考えである.

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