東北大震災
もう何年経つんだろう.それにしても,これを東日本大震災と呼称するのは大変よろしくないと考える.甚大な被害を出したのはもっぱら東北太平洋沿岸であり,東日本というぼんやりした表現で東北地方,特に沿岸の被害を矮小化するようなことはあってはならない.東日本大震災という名称は,おそらく政府の連中が東北地方太平洋沿岸の被害をぬめーっと均して薄めてやろうという意図でつけたものであろう.そうすることで,投資に対するリターンが大して望めないこの地域に落とす金を減らそうという魂胆が透けて見える.これまでも現在もこれからも,彼らは小賢しく,そして卑しい.
ニュースを読んでいると,震災の記憶が薄れてきているという話があるが,ほんまにそんなことあるんだろうか.塾長は大学時代に経験した阪神淡路大震災のことをはっきり覚えているし,東北大震災の恐怖は今でも地震が来るたびに思い出して動悸がする.ほんの10年20年前のことすら覚えていないから,阿呆な議員さんを毎回のように選んで,毎回のように「だまされた」とか思っているのだろうか.いや,実は日本人はもっと愚かで,議員のセンセ方を「立派な人々」であると誤解しているのかもしれない.どっちにしてもアホすぎてどうにもならんな.
阪神淡路大震災の場合は,地震そのもののせいで建造物が一気に潰れたりして,地震直後の対応について反省する点はあまりないように感じる(いや,もちろん,自衛隊の出動命令が遅れたような致命的なミスが政府側にはあったし,ああやっておけば的な細々としたところはあるだろう)が,東北大震災に関しては,我々庶民レベルでも,政府レベルでも色々と反省することがあった.
我々庶民レベルの反省点は,かつてない揺れであり,明らかにほとんど全ての人間にとって人生最大の揺れであったにもかかわらず,津波の警戒が遅れた地域があったことだ.平地が広がっている地域はいたし方ないが,山が近くにあるのにもたもたしていた,そしてそれに子供を付き合わせてしまったというのは本当に最悪であった.あのような緊急事態においては,平時の規則は全て後回しにして,動物的に逃げるという選択肢をとるべきであった.我々の住んでいるこの世界のルールの中で,(少なくともこれまでは)絶対に破られなかったものは自然法則だけである.我々の第一優先事項は,自然法則が最上位であり(昔の言葉で言えば神に相当する),自然現象はその自然法則がもたらしているものであるということをはっきりと認識して行動することだ.人間の決めたルールは所詮人間社会という箱庭だけで通用するもので,箱庭が自然現象によって破壊されている状態では何の意味も持たない.我々はもっと自然法則と自然現象に対して謙虚でなくてはならない.
政府側のミスは,地震そのものについてではなく,原発の運用のゆるゆる加減である.非常用発電機が浸水で動かんとか,お前ら本当に仕事しとったんか,としか言いようがない.あの事故があったおかげで復興に余計な金がかかり,ただでさえ貧乏な日本がさらに貧乏になった.きちんと運用していれば,原発は今回の糞プーチンによる石油価格の上昇に大きな影響を受けずにやってゆけただろうに,東電と日本政府の糞っぷりは本当に許し難い.事故自体は不幸中の幸いというか,東北地方が居住不能になるようなスケールではなく,マスコミのこれまた糞のような報道がなければ今頃はもう少し福島も特別扱いされずにやっていけただろう.なんだこの,東電,マスコミ,日本政府の糞たれぶりは.
こう考えると,自然災害による被害は日本においてはある程度許容せざるを得ないが,それにしても我々庶民も,政府の糞連中も,知性と謙虚さが足らんよな.これらを醸成するためには良い教育が必要で,そのためにはそこそこ金と人員をかけなくてはならん.でも,みんなそうする気はなさそうなんだよね.日本の未来の希望はどこにあるんだろう.