ほんのり
毎年夏になると,数回腹を壊していた.水道水が温まって雑菌が増えるからだろうという話をすると,ほとんどの生徒さんが「そんなことあるわけなかろう」という顔をするので,彼ら彼女らは自分で水を汲んだりせずにお母さんに任せているから,ちゃんとした水を飲んでいるだけなのである,と心の中で反論していた.
それが今年,特に理由はないのであるが,コップを毎日洗うようにしていたら,腹を壊すことが全くなくなってしまった.去年の夏まではコップを洗うという習慣がなかった.毎日ほぼ熱湯のお茶とか入れてるし,殺菌消毒してるやん,というのが理由だ.しかし,よくよく考えてみると,口をつけるところに十分な時間熱湯が通っているわけではなく,まさにその部位こそが雑菌の温床だったのではないか,と今更ながら認識した次第である.ということで,夏場の腹壊しはコップに付着した雑菌であった可能性が極めて高いということが判明した.おっさんになっても学ぶことばかりだ.問題は,学ばなくてもわかるだろうということを今更ながら学ばねばならないという,この学習能力の低さだ.
そして,最近気づいたことがもう一つ.塾長のディナーは昼食で,その残りの飯を使って朝食用の雑炊を作っている.夏の暑い時期に飯の残りを暑い台所に置いておくのは衛生的にどうかという気がするので,普段は昼食後に雑炊の準備をしてから(あとは水を入れて火にかけるだけの状態にして)冷蔵庫に土鍋ごと保管していた.しかし,ここんとこ結構涼しいし,冷蔵庫に入れなくてもいいかなあと思ってコンロの上に置いておいたら,雑炊がほんのり酸っぱい味になっていた.いや,この味はこれまでの人生で割としょっちゅう経験してきたように思う.最近こういう味になってなかったというのは,要するに冷蔵庫のおかげであったということなのか.学生時代から朝食は前日の飯の残りで雑炊というパターンが多かったのであるが,どうやらその大部分はほんのり酸っぱいものを食ってたらしい.これで腹が壊れたということはおそらくほとんどない(もしそうなら,年がら年中腹壊してないとおかしい).しかし,正しい雑炊の味をずっと知らなかったというのが馬鹿馬鹿しいというかなんというか.